相続税! 争族ゼイ?

税制改正により相続税が改正になったことは皆さんご承知のことと思います。

基礎控除が3,000万円プラス法定相続人一人当たり600万円となり、実質的な増税となったわけで、これにより相続税の対象者が増えたことになります。

今までは「相続なんて裕福な人たちのもので、一般人の私たちには関係ない」などと思っていた人たちが、いざ、計算してみると「相続税の対象になりそうだ」と慌ててしまうなんてこともあり得ます。

実際問題、相続税には関係なくても『相続には関係する』ということを知らない人たちが多かった、いや、今でもそう思っている人たちが多いのも事実です。

その関係ないと思っていた人たちのところで相続が開始すると、思わぬことが起きることがあるようです。

これは某週刊誌の記事からですが、相続開始後しばらくすると(数ヶ月後のようです)当局からご案内が来ることがあるようです。そのご案内とはズバリ「相続税申告のご案内」です。当局の判断で申告が必要と思われる人に送っているようです。そのご案内の中には「相続税申告のためのチェックシート」が入っていて、事細かに確認する作業を促しているようです。

筆者の手元にも「相続税の申告のためのチェックシート」がありますので、少しだけ内容を見てみますと、

相続人の確認欄では、戸籍謄本による法定相続人の確認と未成年者の有無、未成年者がいる場合の特別代理人選任の審判証明書の有無、

相続財産の分割確認では、遺産分割協議なのか遺言者が有るのか、相続財産では不動産・有価証券・現金・預貯金・生命保険など詳細に確認するようになっています。

そして、相続財産である不動産や有価証券の評価の確認や、相続時精算課税制度の適用の有無、小規模宅地等の特例の適用有無、基礎控除額・税額計算の確認など、相続税を申告するためのチェック項目が事細かに記されています。

更に、各々の項目について確認資料の添付を促す記載もあります。税理士のような専門家ならともかく、一般の人にこれを見て全て確認しろというのは、かなりの厄介ごとになるでしょう。(関心のある方は、お近くの税務署に行くと、自由にもらうことができますので、試しに確認してみてください。)

仮に、このような通知書類が来ても、慌てずに内容を確認し、場合によっては専門家に相談して対応していきましょう。単なるご案内でしかないケースもありますので。

それより重要なのは、やはり、揉めずに遺産分割を行い、移転登記までスムーズに終了させることです。揉めてしまうと、相続税どころではなく、調停→審判と地獄道が続いてしまいます。

この場合、調停や裁判の費用は相続税とは関係なく負担する事になりますから、相続税の対象でなくても争族ゼイ(?)は払わなくてはならなくなります。

相続税は相続開始後10カ月以内ですが、争族は無期限です。

10カ月ならなんとか頑張って乗り切ろうとも思えますが、無期限の争いはヘトヘトになるだけです。

仮にどちらかが勝ったとしても遺恨が残ります。今後のことを考えると絶対に避けたいものです。

どっちが得か争った挙句、本来なら不要なものまで支払うのでは、本当にどっちが得なのかよーく考えたいものです。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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