エンディングノートは、何のために、何を、どのように書くのか?

このコラムを読まれる方々は、エンディングノートとは何か知らない人はいないと思いますが、何のために書くのか、何を書くのか、どのように(あるいは、どんなノートに)書くのか、などについての考え方はそれぞれだと思います。

エンディングノートとは何かについては割愛させて頂きまして、何のために書くのかということから何を書くのか、どのように書くのか、についてお話しさせて頂きたいと思います。

エンディングノートは何のために書くのかということですが、まずはこれが大切です、いわゆるモチベーションということになりますが、これが明確でないと途中でやめてしまうことにもなりかねません。

これは細く言ってしまえば人それぞれ目的が違うので一概には言えませんが、エンディングノートという大きなテーマからみた場合、大きく二つの目的があると思います。まず一つ目が遺される家族のため、二つ目は自分のため、です。「家族のため」と「自分のため」という二つの大きな目的があるのです。

では、何を書くかということも含めて、この二つの目的についてもう少し深入りしていきたいと思います。

一つ目の目的である「家族のため」は、生前中に自分の意思を表示できなくなったとき等に、もしくは、自分が亡くなった後に、家族が困らないように書き残しておくといいうことです。

終末期医療に関する自分の意思や考えとその理由を明確にしておくと、告知をどうするか、延命治療をどうするかなどを家族が判断しなければならない時に助けになります。

また、認知症で判断能力がなくなってしまった時の自分の考えや希望を遺しておくことは家族にとっては有り難いことではないでしょうか。

そして、自分が亡くなった後のこと、つまり相続に関することを遺しておくのも家族の助けになります。家族に知らせず遺言を作成していたのなら、その旨遺す必要がありますし、そうでないのならどのように遺産分割するかをまとめておくのも家族が遺産分割を考える上での助けになります。

この場合、遺産分割方法を、あるいは希望を遺すのであれば、必ず「そのように指定した、あるいは、希望した理由」を書かなければなりません。そうしないと返って混乱を招く恐れがありますので、注意が必要です。

もう一つの目的である「自分のため」ですが、自分自身の歴史を振り返りまとめる作業で、これからの自分の生きていく活力になることもありますし、家族に遺しておかなければならないことが明確になったりもします。

エンディングノートの中に自分史を綴るように構成されているものもありますし、最近ではエンディングノートを離れ「自分史」を単体で作成する人も増えていると聞きます。

このような目的によってエンディングノートを書き始める人が最初に当たる壁が、何を書けばいいのかわからない、全て書けるかわからないというということです。書く内容は前述で例示していますが、市販のエンディングノートを見れば書く項目が何となくでもわかるようになっています。

また、全部書こうと思わなくても良いのです。自分でこれは書いた方が良いなと思うものから書いていって、それほど必要性が高くないと思える項目は無理に書かなくても良いのです。中には関係ない項目もあります(例えば、ペットがいない家庭にはペットの項目は不要ですね)から、よくエンディングノートの内容を吟味してください。

巷では「エンディングノートの書き方」と称するセミナーや勉強会のようなものがありますが、エンディングノートに決まった書き方はありませんので誤解のないように。

このようなセミナーや勉強会は、エンディングノート自体を理解するためのものであったり、書くためのきっかけづくりを目的にしたものが多く、講師により講座の内容に違いが出てきますので、参加される方はよく吟味してください。

そして、みんなで一緒に少しずつ書いていきましょうというのはあまりお勧めしません(あくまでの個人的見解です)。一緒に書いている人の考えや小言に左右されないとも限らないからです。

一緒に書くなら「ご夫婦」や「家族」で話をしながら書いていきましょう、これはかなり重要です、その方が数倍良いエンディングノートが出来上がります。最後に、少しだけですが、どのように書くかについて筆者の考えを述べておきました。

エンディングノートはあるに越したことはありません、というより、遺される家族としてはぜひ書いておいてほしいものです。しかし、強制することでもありません、本人がその気にならなければエンディングノートは完成しません。

そこで、エンディングノートを書いてもらえない人(将来的に相続人になる人)にワンポイントアドバイスです。

書いてもらえないのであれば、自分が知りたいこと、将来知っておかないと困りそうなことは自分から聞いてしまいましょう、そして、本人の目の前でエンディングノートに記していくのです。

そうすることで本人も関心を示すこともありますし、何より、その時のコミュニケーションが大切なのです。

その結果、エンディングノートの作成作業が継続されていくかもしれませんよ。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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