相続の現場で独り言・・・相続の現場で出くわす人たち

相続支援の相談や依頼を受けて訪問すると、関係する人たちと出くわすことがあります。依頼者が時間の都合をつけやすいように同じ日に設定していたり、片方がアポ無しで訪問したり、一緒に話を聞いてくれということもありますが、ときには依頼を断った専門家の話を聞かされることもあります。

一般の方が相続の相談をする相手として選ぶ可能性が高いのが税務の専門家です。やはり相続の時に税金がかかるのか否かは重要な問題であることは皆同じようです。そして、問い合わせ時に金額のことも気になります。

こんなことを言っていた人もいました、「問い合わせしたら、相続後の手続きも含めて100万円、と言われた」と。これはたまたまだったのかもしれませんが、実際にそういうことをいう専門家がいたようです。また、税務の専門家は往々にして、遺産分割には興味がない傾向にあります。手続きだけやらせて貰えれば良いと、いう考え方の傾向ですね。

しかし、中にはそうでない大変優秀な人もいますので、よく吟味したほうが良いかもしれません。

次に不動産が絡む相続には登記の専門家が顔を出してくることがあります。難関を突破した学業優秀な人たちです。勉強はできるけれども・・・という人がいる業界でもあります。登記手続きの専門家ではありますが、果たして相続の専門家と言えるのかは疑問があります。しかし、中には自分の不足している部分を補う努力をしながら他の専門家と連携して業務を行なっている優秀な方もいますので、そういう専門家を選ぶことができると良いと思います。

時々顔を出すのが書類作成の専門家です。書類作成のプロではありますが、果たして相続の専門家と言えるのか・・・。戸籍謄本の取得や遺産分割協議書の作成、遺言の原案作成などはできますが、あくまでも手続きという側面での専門家です。ここからここまでという線引きをして仕事をしている人もいますが、他の業界経験や他の資格と融合させて上手く相続支援をしている人もいますので、そういう人に頼みたいものです。

そして、遺産相続のプロと謳っている法律の専門家。法律のプロであることは誰もが認めるところですが、果たして相続のプロなのか・・・。この法律の専門家の特質として依頼者の利益ために働くというものがあります。側から見れば揉めそうな依頼でも、それが依頼者の希望であれば、その通りに進めるのがこの人たちです。また、比較的早い段階で調停などの話に進もうとする人もいます。法律のプロであるがために法律の世界だけで考え、結果へ導こうとします。法律はこうだから・・・という考えが先走りますので、心の問題には鈍感のようです。調停や訴訟という段階では依頼せざるを得ないのですが、相続の早い段階ではあまり縁のない専門家ではないでしょうか。ケースによっては、相続の早い段階から問題が発生し法律の専門家に頼らなければならないケースもありますが・・・。ただ、最近は柔軟な思考を持った人も出てき始めましたので、そういう専門家を探したいところです。

辛口でお話しさせていただきましが、従来のいわゆる士業の方々は、各々が自分の守備範囲しか動かず、協働という作業さえ行おうとしないために、依頼者に十分な支援ができないということがあり得ます。いわゆる「縦割り行政」みたいなものです。

相続は各分野の専門知識や経験が必要ですが、全てを一人でカバーすることは不可能です。各分野の専門家と協働して依頼者を支援していくことが望ましいと言えます。そのためには各専門家をマネジメントする能力が必要とされます、そしてその能力は、学業として身につくものではありません。今までの経験や努力の賜物ですし、また、それを意識して支援をしていこうという姿勢でもあります。

そういった専門家が今後相続の現場で必要不可欠な存在であり、相続士はそういう存在でありたいと思います。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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