遺産分割協議に配偶者同席?

相続開始後のメインイベントはみなさんご承知の通り「遺産分割協議」となります。この遺産分割協議で被相続人の所有していた財産の帰属先が具体的決まるわけですから、相続人としてはどの遺産をどれくらい相続できるか大問題になるわけです。

各家庭によって違いはありますが、相続が開始した時、相続人は住宅ローンを組んでいたり、子供の教育費や様々な支払いに追われていたり、そんな厳しい状況下でも車の買い替えの必要性に迫られていたりと、「お金」という面で考えると人生の中でも大変な時期であったりもするわけです。

そんな中、親の遺産が入る、という所謂棚ぼた的な収入があると、目が眩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

そこに現れるのが「他の共同相続人と比較」という視点です。そして、「少しでも多く貰いたい」という気持ちが芽生えるのです。

一般的に揶揄されている「争族」の火種ができてしまうのです。この火種が大きくなるか小さいままで消えてしまうか、この後の遺産分割協議の進め方で変わってしまいます。

遺言がない場合の遺産分割協議は、被相続人の意思表示はありませんから、共同相続人の話し合いで決めることになります。

この遺産分割協議の場、1回で決まることもあれば、数回に及ぶこともあり、争いの場となることもあります。

この遺産分割協議、相続人だけで話し合いをするのが大原則ですが、ここに相続人の配偶者が同席することがあります。

まるで、当然の権利のように同席する人もいれば、相続人である配偶者から同席を求められての同席もあります。

理由はどうであれ、相続権を有さない人が遺産分割協議の場に同席するという状況が生まれるのです。

本当に何も口出しせずに話を聞いているということもありますが、“口は出さないから”と言いながら、手や足を使い、予め打ち合わせてきたように合図を送ったりすることもあります。

確かに前述したように「お金」という視点で考えた場合には厳しい時の棚ぼた的収入になるので、家庭というくくりで考えた場合には配偶者も当事者意識が芽生えてきてしまうのかもしれません。

しかし、あくまでも被相続人の財産であり、相続権を有するのは遺産分割協議書に名を連ねることのできる相続人だけで、他人がとやかくいうことではないのです。

もし、遺産分割協議の場に相続人の配偶者が同席した場合には、可能な限り退席していただくことをお勧めします。親子兄弟姉妹同士の話し合いに配偶者とはいえ他人が入ることは望ましくありません。

ただ、相続人が一人で行動するのが難しい、何らかの事情で上手く話すことができない、あるいは、相続人の中に強権を発動して話し合いにならない、などの特別な事情がある場合には、やむを得ないということもあります。

その場合でも、配偶者が入ることで「揉める」という可能性は消し去ることはできませんので、揉める前に「調整役」として専門家に入ってもらうという選択肢もあります。

専門家の中には依頼者の利益重視という専門家もいますので、「共同相続人全員のために、円満な相続のために」という役割を果たすことのできる専門家を選んでください。

遺産分割協議の場に配偶者が同席すること、、、、可能な限り避けたいものです。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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