親族の範囲について知っておこう
前回、8月は夏休み・お盆休み等で家族や親族が集まる機会が増えるでしょうから、相続について話してみましょう、というお話をしました。
今回は、親族法の基本である、親族の範囲についてお話をしたいと思います。
皆さんは親族とは自分から見てどの関係の人たちまでをいうか分かりますか。
何となくあやふやですよね。
親族とは、
- 6親等内の血族
- 配偶者
- 3親等内の姻族
と、民法725条に規定されています。
はてさて、何となく意味は分かるけど、具体的には・・・という表現ですね。
具体的にみていきます。
血族とは、文字どおり血の繋がりを表しています。通常の血の繋がりのあるもの(出生によって生じるもの)を「自然血族」と言います。
そして、養子縁組によっても血族関係が成立します、これを「法定血族」と言います。ただし、養子縁組によって血族関係が発生しても、相続の場合には自然血族とは違う点もありますので注意が必要です。この点はまたの機会にお話ししたいと思います。
親等とは、自己からみた親族関係の近さを測る単位とお考えください。数字が小さいほど自己との関係が近いということです。自己の子や父母は1親等となります。
自己から6親等内の親族とは、直系尊属では父母(①)、祖父母(②)、曾祖父母(③)と順に遡っていきます。直系卑属では子(①)、孫(②)、曽孫(③)と順に降りていき、六世の孫(⑥)までが親族となります。兄弟姉妹は父母(①)を経由して数えるので兄弟姉妹は2親等となり、兄弟姉妹の玄孫(⑥)までが親族ということになります。
そして、実際の生活環境の中では近い人と遠い人と分かれると思いますが、親の兄弟である“おじ・おば”、その子供である自己からみた場合の従兄弟はどうかというと、父母(①)・祖父母(②)を経由して数えますので、おじ・おば(③)、従兄弟(④)となります。
配偶者は特別な地位で、血族でも姻族でもなく、親等もありません。尚、配偶者関係は婚姻によって生じるもので、内縁関係では生じません。
姻族とは、自己の配偶者の血族または自己の血族の配偶者のことを言います。例えば、夫や妻からみたそれぞれの親や兄弟姉妹(配偶者の血族)、自己の兄弟姉妹の結婚相手(自己の血族の配偶者)が姻族となります。
尚、夫の親と妻の親というように、配偶者の一方の血族と他方の血族の間には姻族関係は生じません。
以上、簡単に親族の範囲についてお話ししましたが、字面では分かりづらいかもしれません。夏休み中の時間があるときにでも、自分を中心とした親族関係図を、フリーハンドでも構わないので、気楽に、作成してみてはいかがでしょうか。
新たな発見があるかもしれませんよ。
蛇足ですが、筆者の遠い親戚にTVでおなじみの有名芸能人がいます、さて誰でしょう・・・・笑。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所
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