闘う相続? 当然の権利? ちょっと待った!

相続人は一定の相続分を貰う当然の権利があります!と主張する人がいます。果たして当然の権利なのでしょうか。当然の権利と思っているが為に感情を露わに自己主張をするのかもしれません。

では当然の権利なのかどうか考えてみたいと思います。

ここでいう相続人とは一般的に法定相続人のことをいうのだと思いますが、法定相続人とは民法で定められた相続人と成り得る人たちのことです。そして、ある家族於いてある人が亡くなった場合に相続人となる人たちのことを推定相続人と言います。

何が違うかと言いますと、法定相続人は先述したように相続人と成り得る人のことで、配偶者相続人の他に血族相続人(直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹)が該当しますが、血族相続人には順位があって上位の者があるときは下位の者は相続権を有しません(被相続人に子供がいる場合には被相続人の親や兄弟姉妹には相続権がないという状況を思い浮かべていただければお分かりになると思います)。

このように、被相続人の家族の状況によって相続人となる人たちが決まってくるのですが、相続が開始するまではあくまでも相続人となる可能性がある人たちなので推定相続人となります。

この推定相続人たちは被相続人となる本人から廃除という形で相続権を剥奪されるかもしれませんし、悪いことをして相続権が法律上なくなってしまうかもしれません(相続欠格)、相続開始するまではまだ分からないのです。

法定相続人であり、且つ、推定相続人であっても相続権を必ず有することになるか不明ですし、相続人と確定したとしても、遺産はあくまでも被相続人が形成してきた財産であり、相続人固有の財産ではありません。

遺言があれば遺言に従い、なければ遺産分割協議をして遺産の帰属先を決めることになるわけです。遺産を貰う権利が当然にあると考え自己中心的な主張をするのは取らぬ狸の皮算用とでも言いましょうか・・・。

被相続人が形成してきた財産をありがたく承継するという気持ちが大切かと思います。

その気持ちもなく、共同相続人が其々自分勝手に、貰うのが当然の権利と思い権利を主張しあうとまとまるものもまとまらなくなるのは当然のことだと思います。そして、その権利の主張を手伝い、共に闘い、依頼者の利益を目指すだけの専門家も存在します。

相続は争族と揶揄されることが多くありますが、決して闘いの場ではありません。

納得いくまでとことん闘ってやるという気持ちは捨ててください、闘っても納得いく着地点を見つけられ可能性はほとんどありません。

自己中心的な主張は控え、他の共同相続人たちとよく話し合い、争いにならないように相手の気持ちも汲む姿勢を持っていただきたいと思います。

被相続人が一生かかけて形成してきた財産を相続権を有する人たちが承継していく作業が相続です。被相続人の想いも一緒に承継していっていただきたいと思います。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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