相続で取得した家が空き家に…放っておくと大変なことに?

相続で相続人が取得するものの一つに不動産があります。この不動産、望んで取得する場合と望まずに取得する場合ではその後の不動産のあり方に雲泥の差が出て来る可能性があります。

望んで取得する場合のことはここで述べる必要はないと思いますので、望まずに取得する場合についてお話ししたいと思います。

遺産を誰が承継するかという問題を解決するためには共同相続人全員による遺産分割協議を行うか、相続開始前に被相続人が遺言による指定を行うかになりますが、問題となりやすいのは不動産を誰が承継するかということです。

相続人があまり望まない不動産であれば、押し付け合いになったり、話がまとまらずに共同相続人全員の共有になったり、スッキリした解決にはなかなか結びつかないものです。

共同相続人の誰かが渋々不動産を承継することになり、あるいは、共同相続人全員の共有になり、その結果当該不動産が空き家になってしまったらどうなるのでしょうか。

素人的に考えると、空き家?放っておけば良いじゃないか!誰かに迷惑がかかる訳でもないし!・・・となりがちですが、とんでもない、誰かに迷惑がかかる可能性があるのです、場合によっては損害賠償請求ということにもなりかねません。

ではどんな迷惑でしょうか。

一般的に多くあるのは、枝や根の境界越境、落ち葉の散乱、などです。これらの場合であればそれ程の問題ではないかもしれません。

空き家となった不動産のメンテナンスを怠っていると、ただでさえ人の住まなくなつた建物は朽ちくやすくなるのに、メンテナンスをせずに放っておくとどんどん酷い事になります。

野良猫の住処に無っったり、不審者の溜まり場や寝ぐらになったり、ゴミの不法投棄場所になったり、色々と良からぬことが発生する可能性があります。

そして最も怖いのが、火災や建物の倒壊などです。

空き家になっていればガスや電気は止めているはずですから一般的には火災の発生原因はないように思えますが、不審者の溜まり場や寝ぐらになっているような場合は火種は発生してしまいます。また、放火という火種もあり得ます。火災保険に入っているから大丈夫だと安易に判断せずに、加入している火災保険があれば再度確認しておく必要があります。火災保険の内容は大丈夫だという確認が取れても、「重過失による免責」という落とし穴がありますのでご注意ください。

火災にならなくても建物の外壁の落下や屋根瓦の落下などにより他人の物(例えば自動車など)を損傷してしまった場合や他人に怪我を追わせてしまった場合などは損害賠償しなければなりません。最悪の場合で建物の倒壊となると隣家にどれだけの被害が及ぶか分かりません。もちろん、損害賠償の対象となります。

以上のように、空き家を放置しておくと所有者に責任がかかって来る可能性が多々あります。

万が一にも、空き家になってしまった場合には適切な対応が必要になってきます。

できれば、空き家になる前に対策を講じておくことが望ましいのではないでしょうか。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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