不動産評価をいい加減にやると大変! 

相続と一口に言っても、遺産分割の問題なのか、相続税の問題なのか、不動産の問題なのか、色々とケースによって着眼点が違ってきます。

遺産分割の問題であれば、遺産分割を得意とする専門家、不動産の問題であれば、不動産の専門家が必要になってきます。そして税金の問題の時に税理士が必要になってくるというのが一般的です。

それなのに今だに相続の専門家は税理士だと思って、税理士という看板があれば相続に関する相談が何でもできると勘違いしている人も少なくありません。もちろん税理士の中にも相続の専門家はいますが、税理士が全員相続の専門家だという勘違いは早めに訂正しておいたほうが良いでしょう。

税理士の中にも相続の専門家はいる、しかし、税理士全員が相続の専門家ではない、と言いました。

一言で言いますと、相続というものを多角的に学び(特に不動産)、実務で実行しているのかという点で大きく違ってきます。税理士全員が相続の専門家ではないというグループに区分けされる税理士は、自分が相続の専門家ではない(相続税の申告も年に1回〜数回程度あるか否か)ことを認識していても、相続に関する税務申告を前提に相続手続きの相談を受けたら断らないという税理士や、税務申告はできるが全て机上の計算のみで行い現場(不動産)を見ずに手続きを行ってしまう税理士などが該当するでしょう。こういう税理士は現場を見ていないので適用可能な割引があってもできないと判断して計算してしまうため、多めの納税になってしまいかねません。税務署は納税が少ないと判断すれば追求してきますが、多い場合には何も連絡くれません。

相続人は損をしていたとしても気付きません、自分で発見するしかないのですが、無理な話です。

では、税理士の中にも相続の専門家はいるというグループに区分けされる税理士とはどういう税理士でしょうか。もちろん、相続税申告の扱い件数が多いに越したことはありませんが、1番のポイントは「不動産に強い税理士」ということです。相続には不動産が付きものです、その不動産が相続の時にはいくらになるのか、これは相続税の申告が必要な相続人には大きな問題となります。相続税を計算する上で不動産をどう評価するかによって納税額が左右されてきます。この時に「不動産に強い税理士」は机上で計算するだけではなく、現場を見に行くのです。そして、適用可能な割引等を検討していくのです。場合によっては測量も辞さないという税理士もいます。

相続における不動産の重要性をしっかりと理解しているか否か、行動に表れます。

みなさんが相談した税理士はどちらのグループに属する税理士なのか、しっかりと見極めて頂きたいと思います。

因みに、日本相続士協会の相続士上級に登録している税理士は不動産のことをしっかり学んでいるので「不動産に強い税理士」に該当するのではないでしょうか。

今回は辛口のコラムになりました。悪しからず。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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