ライフエンディング・ステージにおける終活

「終活」という言葉が世間に広まり始めてから数年経ち、一時期はエンディングノートが終活の代名詞のように世間に広まり、終活に関する民間資格も登場して「終活」は広まりました。

ブームも一段落したかに思える昨今ですが、「終活」の本質的な部分の必要性が改めて認識され始め、ジワジワと浸透してきているように思えます。

本質的な部分とは何かと言いますと、筆者の私見ですが、「人生の終わりに向けた準備」という括りの中で、認知症等への準備、終の住処の準備、介護・医療の準備、終末期医療に関する意思表明の準備、葬儀・お墓の準備、相続の準備、死後の後片付けのための準備、など「本人の死に向き合った準備」ということになります。

「終活」という大きな括りの中では、「エンディングノート」を書くためのモチベーションとして自分の今後の人生を豊かにするためとする見解や、「終活」の一つとして自分史をつくることなど、終活の意味合いが幅広い領域で捉えられていることがあるために、今回は「本人の死に向き合った準備」を「終活の本質的な部分」と表現しました。

ここ数年「相続」というものが一般に浸透し、「相続」を専門にする機関が増えたりマスコミにも多く取り上げられたりして、「相続に係る業務」を専門機関に依頼することが一般的となっていく中で相続という核心を取り巻くその周辺問題に関しても必要性が認識され始めました。

相続の準備をするのはいいけれど認知症になってしまったらどうする?

介護状態になったときに面倒を看てくれる者がいない、どうする、施設入居?在宅介護?

相続人がいないので葬儀やお墓はどうする、死後の後片付けは?

お墓の承継者がいなくなる、どうする?

など、個々の状況に応じて相続の話から端を発して関連する事項に話が進んでいくことは珍しくありません。本人のみならずご家族や親族、友人知人等の関係者(おひとり様の場合には友人・知人等が関係当事者となることがあります)からも問題提起されます。

「終活」は本人が準備をすることが原則ですが、相続問題はもちろんのこと、葬儀やお墓の問題、終末期医療の問題等、ご家族や親族、友人知人等の関係者(おひとり様の場合には友人・知人等が関係当事者となることがあります)も加わって準備をしていくというのが望ましいのではないかと思います。

「本人の人生の終末に位置付けられる時期」と「本人の死亡後の遺族等による生活の再構築の時期」を、経産省の報告書において「ライフエンディング・ステージ」と定義されており、この時期における本人やご家族・親族・関係者等に関わる様々な問題に対して準備をしていくことが「ライフエンディング・ステージにおける『終活』」ということになりますが、「本人の人生の終末期」と「本人死亡後の遺族等の生活再構築期」をシームレス(継ぎ目なく)にサポートできる専門家あるいは専門機関が今後は求められてくることでしょう。

例えば、遺言作成をサポートした専門家あるいは専門機関が、遺言作成だけではなく本人の生前のQOL(Quality of Life)維持・改善等の支援、ご家族の看取りのための支援、本人死亡後の相続手続き支援、葬儀・お墓に関する支援、遺品整理等の死後の後片付けの支援など、本人のためだけではなく、ご遺族や関係者等が日常の平穏な生活に戻るまでをトータルでサポートすることが求められてくるのではないかと思います。

相談・依頼する側も専門性を見極めながら(これは難しいことかもしれませんが)、人間性も考慮して(自分との相性はどうなのか)、頼れる専門家を探してみてはいかがでしょうか。

このページのコンテンツを書いた相続士

中島 浩希
中島 浩希
行政書士、宅地建物取引士、相続士上級、CFP
東京都小平市出身。法政大学経済学部卒。リース業界・損害保険業界を経て、2007年相続に特化した事務所を開設し、現在も一貫して「円満相続と安心終活」をモットーに相続・終活の総合支援を行っている。相続・終活における問題の所在と解決の方向性を示す的確なマネジメントと親身な対応が好評を得ている。相続専門家講座の専任講師として相続専門家の育成にも助力している。日本相続士協会専務理事。
中島行政書士相続法務事務所・ナカジマ相続士事務所

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