クライアント所有の土地周辺が「地籍調査対象地域」に
先日クライアントから「所有している土地周辺が地籍調査対象地域になりました」と連絡がありました。都心への利便性が良い神奈川県の郊外に800平米超、約250坪の土地をお持ちの方で、ご自宅の他、現在は駐車場を経営されています。現在の土地の所有者はクライアントの母親で、以前より万が一母親が亡くなった場合の相続対策についてご相談をいただいていました。
ここであらためて「地籍」とは何かをおさらいしておきます。それぞれの土地(一筆)ごとに地番(住居表示とは別に設定されています)・地目(宅地・田・畑・山林など、土地の用途により分類されています)・地積(その土地の面積)や所有者に加えて、これまでの所有者の変更や分筆(一筆の土地を二つ以上の土地に分けて登記しなおすこと)等の履歴が法務局に登記簿謄本として保存されています。土地に関する「戸籍」にあたるもので、誰でも入手・閲覧が可能でその土地の「地籍」を調べることができます。
謄本に様々な情報が掲載されているのに、なぜ「地籍調査」を行うのでしょうか。現在、法務局にはそれぞれの土地の情報が登記簿と一緒に図面や地図として保存されています。登記簿には地積のほか、所有権や抵当権の設定履歴等が残されています。図面や地図については測量士や土地家屋調査士が確定測量を行ったものや公図等も保存されていますが、明治時代に行われた地租改正の時に作成されたものがそのまま残っているものも多く、境界や地積・地形等が現状とは異なっている場合が少なくありません。このような古い情報を修正し、現状の状態にそって登記をし直すのが地籍調査となります。
調査はおもに市区町村等の地方自治体が主体となって行われます。調査にかかる費用負担は国が半分、残りの半分を都道府県と地方自治体が負担するのですが、特別交付税の対象となり、実際に地方自治体が負担をするのは費用の約5%となっています。これら土地調査にかかる費用を土地の所有者に負担を求めることは無く、費用がかからずに土地の境界確定を行えるメリットもあります。
ではこの地籍調査、全国的にはどれくらいの進捗率となっているのでしょうか?こちらについては次回のコラムでお伝えしたいと思います。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。
相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。
また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
FP EYE 澤田朗FP事務所
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