相続コンサルティングと生命保険の活用の基礎
相続が発生する前のコンサルティングでは、まずは「現状分析」、相続人となる方がどこの誰なのか(人の把握)、被相続人となる方(被相続人)の財産にはどのようなものがあるのか(物の把握)、を行うことになります。
不動産をはじめ預貯金・有価証券、さらには債務まで、相続財産の把握・現状確認を行った後に、不動産については評価額を圧縮できるかどうかを試算します。相続士が得意とする土地評価の話はまさにこの部分になります。土地評価は相続発生後でも行うことができますが、できれば相続発生前に評価額を把握して、生前にどのような対策ができるか、時間をかけて考えることが必要となります。
現状確認を行うことで生命保険の加入の有無やどのような保険に加入をしているかどうかも把握できますので、このタイミングで生命保険の提案を行うことも可能です。
とくに農家や地主の方の財産は大半が不動産で占められています。万一の場合には不動産の一部を売却して遺族の生活資金や相続税の納税資金にあてればいいと考えている場合が多く、また生命保険嫌いの方もかなりいるというのが私の印象です。そのため生命保険の非課税枠すら活用していないケースが案外多いです。
また被相続人が一時払終身保険等に加入することによって、仮に一時払保険料≒死亡保険金であっても課税対象である現金の一部を非課税財産となる死亡保険金に変えることができますので、財産評価の圧縮を行うことが可能となります。また、生前贈与(保険料贈与)を活用して相続人となる方(相続人)が保険契約をすることで、相続財産を減らすとともに、相続人が一時所得で保険金を受け取るメリットを活用できる方法もあります。
相続税の納税資金準備や相続財産の圧縮のために、生命保険が活用できますが、中には生命保険に対して「食わず嫌い」の方がいることも事実ですので、死亡保険金は受取人固有の財産であることなども含めて、生命保険を活用するメリットを説明する必要があると思います。
ただし財産のほとんどが不動産で占められている場合などは、保険料に充てられる現金が少ない場合が多いですが、できる対策についてはいずれ実行すべきだと思います。現状確認の段階では非課税枠を活用しているか、保険料贈与を活用した保険加入ができるか、納税資金準備として保険が活用できるか、といった点などがチェックポイントになると思います。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。
相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。
また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
FP EYE 澤田朗FP事務所
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