地籍調査の実際 その1
2015年10月のコラムでお伝えしました、お客様が所有する土地の地籍調査が先日行われました。当日は私も同席をさせていただきましたので、どのようなことが行われたのかをお伝えするとともに、お客様の隣地の方の、地籍調査終了後のお話についてもお伝えしたいと思います。
お客様の土地について簡単にご説明をしますと、神奈川県の郊外、都心まで急行で1時間弱の比較的利便性の良い場所で、自宅の他に駐車場として貸している土地を合わせて約800㎡となります。土地の南北にはそれぞれ市道・県道が走り、土地の東西の所有者は別人となりますので、今回は東西の土地との境界を確定することになります。
午前中に近隣の土地の所有者が集まり、役所の担当者と測量業者から調査についての説明があった後に、当事者と役所・測量業者が1組となって1箇所ずつ確認をして了承を得ながら、それぞれの境界について確定をしていきます。
ちなみにお客様は当日有給休暇を取り調査に立ち会いましたが、やむを得ず立ち合いができない場合には、委任状を作成することで代理人に立ち会ってもらうことも可能です。委任状は親族の方が代わりに立ち会う時にも必要となります。配偶者・子等の親族以外の人に立ち会ってもらう場合には、不動産の知識を持った信頼できる方(普段からお付き合いのある専門家やその方から紹介された不動産鑑定士等)に依頼したほうが良いと思います。
役所の担当者の方は事前に測量を行い、それぞれの土地についてある程度境界を把握したうえで、「この土地の境界線・境界杭はここで良いですか?」といった確認作業が主となりますが、所有者が「ちょっと待った、ここの境界はこっちじゃない?」といった場合には、あらためて当事者同士で確認をしながら境界を確定していきます。
基本的には公図をもとに境界の確定作業を進めますが、ご承知のとおりそれぞれの土地には「縄伸び」「縄縮み」がありますので、それぞれの所有者が「ここが境界だ」と同意したうえで、公図との差異が生じる可能性がある場合にはあらためて測量をして境界を決めていきます。
(続く)
このページのコンテンツを書いた相続士
- 相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。
相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。
また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
FP EYE 澤田朗FP事務所
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