代襲相続と数次相続の違いは?
前回のコラムでは、相続手続きが終わらない間に次の相続が発生した場合の「数次相続」についてお伝えしました。
また、数次相続と似たようなものに「代襲相続」があります。今回は代襲相続と数次相続の違いについてお伝えします。
相関図3において、はじめに次郎さんが亡くなった場合、相続人は赤い点線で囲った3人となります。
その後一郎さんが亡くなった場合、相続人は花子さんと子供3人の4人となりますが、次郎さんがすでに亡くなっているために、その子である一次郎さん・二次郎さんが相続人となります。これが「代襲相続」です。
数次相続との違いは配偶者が相続人とならない点です。数次相続の場合には亡くなった方の法定相続人が相続権を引き継ぎますが、代襲相続の場合には直系卑属または兄弟姉妹が相続権を引き継ぎます。
亡くなる順番によって数次相続となるか代襲相続となるかを区別すればわかりやすいと思います。代襲相続も数次相続と同じく、相続人の数が本来の相続人よりも増えることになりますが、配偶者が相続人とならない分、人数は少なくなります。
代襲相続については、遺された相続人ではどうすることもできないことですが、数次相続については、早急に分割協議・相続手続きを行うことによって回避できる可能性が高くなります。相続が発生したらできるだけ速やかに手続きをする、そのためには生前に分割方法について決めておいたほうがスムーズに事を進めることができます。
相次相続と代襲相続が同時に起こると、相関図4のように相続人の数も多くなり、相続人間の関係も希薄になる可能性があります。
相関図4の一郎さんの相続においては、母親、長男の嫁と子供、次男の子供(背後に次男の嫁)、三男の間で遺産分割の話し合いを行うことになります。
もしここに先妻の子や養子などが存在するようなことになったら‥‥、ここまでいくとドラマのような相関図になってしまいますが、どの家庭でも数次相続や代襲相続は起こる可能性はありますので、
相関図が複雑になる前に、できるだけ早目に分割対策を行う必要があります。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。
相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。
また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
FP EYE 澤田朗FP事務所
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