都市計画道路予定地の相続税評価額は?
都市計画法では、今後の街づくりを計画的に行うために様々な規定が設けられています。新たな道路を整備するための計画も定められており、将来道路となる土地は「都市計画道路」の予定地となります。ではこのような土地の相続税評価額はどのように計算されるのでしょうか。
都市計画道路の概要
都市計画道路とは都市計画法に基づいて整備される道路です。街づくりの上で利便性の向上や環境の整備をすることを目的としています。例えば都市と都市を結ぶ幹線道路などを新設する、これまで幅員が狭かった道路を拡幅する、等の事業が行われています。街中でこのような工事が行われているのをご覧になったこともあると思います。
今は道路ではない土地が道路になりますので、計画の内容によっては所有している土地や相続した土地、また相続予定の土地の一部・全部が、都市計画道路の予定地となっているケースもあります。予定地になっている場合には、将来国や自治体に道路用地として提供する必要があります。
予定地かどうかを確認するには
都市計画道路の予定地となっているかは、その土地の所在地の市区町村役場で確認できます。都市計画を担当している部署や道路を管理している部署に問い合わせをすれば、その自治体の都市計画を確認できます。また自治体によってはHPで都市計画道路の計画や整備状況等を公表しています。
公表されている内容は、都市計画道路予定地の場所や名称、予定されている道路幅員、すでに整備することが決定しているのか、またその整備時期、買収の予定時期・買収面積・買収金額等があります。一部が予定地となっている場合には、道路として提供する場所や面積の確認が必要です。また全部が予定地となっている場合には、別の場所に新たに土地を購入する必要もありますので、買収金額を確認しておくことが重要です。
予定地の相続税評価額は?
このように、予定地となっている土地の様々な条件等の確認が必要ですが、予定地の相続税評価額は減額することができます。
国や自治体によって道路新設・拡幅の計画がされていれば、必ずしも工事が始まっている必要は無く、着工時期が決まっていない都市計画道路についても減額の対象となります。具体的には、次の3つの要件によって減額される割合が決まります。
1.どの地区区分に該当する土地か
・ビル街地区、高度商業地区
・繁華街地区、普通商業・ 併用住宅地区
・普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区
国税庁が毎年7月に公表している路線価図で確認できます。
2.該当地の容積率
市区町村役場で確認できるほか、HPで確認できる自治体もあります。
3.一筆の宅地の中で、都市計画道路予定地に該当する地積の割合
該当地の図面を作成し、都市計画道路予定地部分を確定させて、割合を算出する等の作業が必要です。
減額割合は容積率や、その宅地の総地積に対する都市計画道路予定地の部分の地積の割合によって、「ビル街地区、高度商業地区」は評価額を0.50~0.88、「繁華街地区、普通商業・ 併用住宅地区」は0.60~0.97、「普通住宅地区、中小工場地区、大工場地区」は0.80~0.99まで減額できます。
・国税庁HP:都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/04.htm#a-24_7
また都市計画道路の予定地となっている土地については、建物を建てる際の高さ制限等の「建築制限」があります。これも考慮して相続税評価額も一定の割合の評価減を行えるようになっています。
都市計画道路の予定地かどうかは、現場で見ただけでは判断できませんので、現場調査と合わせて役所調査も必須となります。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 相続士、AFP
1971年東京都生まれ。FP事務所FP EYE代表。NPO法人日本相続士協会理事・相続士・AFP。設計事務所勤務を経て、2005年にFPとして独立。これまでコンサルティングを通じて約1,000世帯の家庭と関わる。
相続税評価額算出のための土地評価・現況調査・測量や、遺産分割対策、生命保険の活用等、専門家とチームを組みクライアントへ相続対策のアドバイスを行っている。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。
また、住宅購入時の物件選びやローン計画・保険の見直し・資産形成等、各家庭に合ったライフプランの作成や資金計画のサポートを行っている。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
FP EYE 澤田朗FP事務所
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