お一人さま支援の仕組みのつくり方 Vol.4
前回はこの仕事について需要と供給の面でしばらくは極めてアンバランスな状態が続くであろうことを述べました。
それではこの支援のためにはどのような具体的な徴表類が必要なのでしょう。基本的なあり方やこうあった方がよいと思われる形をもとに述べていきましょう。
- お一人さま(依頼者)と支援者との関係で
㈠相談申込書
お一人さまについての具体的情報が「本人の記入」により書かれたもの(住所・氏名・収入・資産・保険・親族関係・お墓・遺言書等)であって、これにより、支援者側は契約相手について契約すべきか否かについての最初の判断材料とします。つまり、この時点で認知症か否かの基本判断をします。
㈡支援についての「準備シート」
㈠の時点で契約出来そうと判断したら、「準備シート」に詳しく書いてもらい話し合いの材料とします。①連絡リスト ②医療や介護について ③財産について ④遺言・相続・葬祭と埋葬についてなどです。この話し合いの中でお一人さまの希望や支援者側としては何が具体的に出来るのか、出来ないのか、などを話し合います。
㈢契約準備シート
契約可能性が大いにあると双方が判断したら、契約内容の一部になるという認識のもとにこの「契約準備シート」に慎重に記入していきます。①親族について ②健康状態 ③保険証等 ④生活支援してくれている人がいればその人について ⑤介護保険証 ⑥財産について(預金・有価証券・不動産・保険・負債・クレジットカード・貸付金・定期的な支出・税金・保険・定期的な支払いなど)・相続・遺贈・葬儀や埋葬の希望など。
この「契約準備シート」の最後には今後の訪問時に使用される「モニタリングシート」をつけますが、この件についてもお一人さまに説明しておきます。(支援者側の真の意図としては契約者のこれからの認知度をみるという意味があることに留意しておくことです。)
㈣安心計画書
「契約準備シート」をもとに具体的な費用に基づいて支援内容を定めていくものです。書かれた内容は依頼者側からの同意がなされたものとして、次に述べる「契約書」に明記されます。
㈤契約書
別途作成した「契約準備シート」及び「安心計画書」で具体的に定めた死後事務の遂行を行うことが明記されます。そして、決められた内容が以下のように要約されます。
紙幅がつきたようです。つづきは次回にまわしましょう。
このページのコンテンツを書いた相続士
- 田代尚嗣(たしろなおつぐ) 仏教ジャーナリスト・終活士
昭和42年学習院大学 法学部卒。リーダーズダイジェスト社、サイマル出版会を経て、現在、冠婚葬祭互助会、葬儀社、寺院、税理士向けの小冊子などを出版販売する会社経営(アピカル・プランズ社)のかたわら著述業。季刊『霊園情報』元編集主幹。ここ数年は仏教関係書を多数執筆。
また、高齢者問題にも詳しく、「エンディングノート」と呼ばれる、自分に万が一のことが起こったときのために、家族に伝えておくべき事項をノート形式でまとめておく冊子を、日本で最初に広めたことでも知られている。
主な著書として『面白いほどよくわかる仏教のすべて』(日本文芸社)、『はじめての仏教入門』『お墓のすべてがわかる本』(以上新星出版社)、『いまから始める「シニア人生」安心計画』(三笠書房)など多数。
ここ数年は、小冊子購入先の依頼に限り「エンディングノートがなぜ必要なのか」、「日本仏教の行く末」、「独居高齢者支援の仕組みのつくり方」などのテーマについての講演活動も行っている。
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