お一人さま支援の仕組みのつくり方
先日、江里口代表理事とお会いした時の会話です。
「田代さんが『大法輪』という雑誌に連載されていた記事を読んで、これはうちの会にもイケると思い、『死後事務委任契約』というタイトルで講演会参加者を募ったのに希望者がほとんどいませんでした。」
「それは私が依頼されていた件?」
「そうです。」
「それはそうだと思いますよ。今日そんな契約があることを知っているのは国民の1%もいないはずですよ。「独居高齢者支援」とか、「お一人さま高齢者支援の仕組み」、とかもう少し今日的テーマを全面に出していかないと。それらの仕組みのほんの一部分をなす契約ですから。ただ、決定的契約なことは間違いないのですけどね。」
「このテーマは相続士、終活士にとってビジネスになると思っていますので、どうしたらいいでしょうかね。」
「そうですね。このことが今日的ビジネステーマであることを皆さんに、まず知ってもらうことでしょうかね。」
「そうですか。それではお願いできませんか。」という流れの中で、私が原稿を書くはめになってしまいました。
彼のご先祖と私の先祖が同じお城を守っていたという関係もあって、それに、彼のご先祖さまの方が私の先祖より上位にあったということもあって、どうも彼のペースに乗せられてしまいがちです。(これは冗談です。)
さて、それでは「お一人さま支援」についての現状と、それをどう仕組めば皆様のビジネスになり得るのかについて何回かに渡って述べていくことにしましょう。
今日、65歳以上の高齢者のお一人さま(以下お一人さまと記します)は600万人います。そして、2020年には750万人になるとされています。さらにはそれ以後も20数年の増加が見込まれ、その後もそれほど減らないだろうとされています。
この場合のお一人さまというのは、親族がいない人はもちろんですが、いても遠くにいて、助けにならない、あるいはつきあいそのものが全くないという孤立している人達のことです。そして、いくつかの調査がありますが、一千万円以上の貯金などの金融資産をお持ちの方々が約30%と推計されている人達です。
さて、人間にはどうしても自分だけでは出来ないこと、他人の手助けが必要なとき(こと)があります。それは生まれるときと、死ぬとき(終末期)です。
今日の日本社会では高齢者の「終末」についての問題が大きくクローズアップしてきていますが、その中でもお一人さまにとっては、より一層の問題点が存在します。
その一つは身元保証の点と、二つ目としては本人死後における葬儀から始まって、相続、遺品整理、そして、死後におけるさまざまな事務手続きという問題です。
身元保証については賃貸住宅の場合はほぼ100%、介護施設では91・3%、病院では95%が保証を求めているというデータもあります。
それでは、ここで身元保証についてのあらましについて、表によって示しておきましょう。(つづく)
田代尚嗣(宗教ジャーナリスト・終活士)